プラナリア/山本文緒


プラナリア

プラナリア

短編集なのだけど、長さは結構あるので中篇なのかも。



五編あるけれど、てっきり最初は「無職」をテーマにした話かと思っていたら、ちょっと違う気がしてきました。語り手が本人から第三者へとかわったりしますし。

題名の「プラナリア」って不気味な感じがします。

そして、収められている話も、似たような感じを受けます。

だって、一編を抜かしてあの人たちが幸せになれる予感がしない。

この人の話はどんなに問題が山積みでも、そしてそれが解決されていなくても、何となく前向きになれたり、泣きたくなったりする話でしたが、今度は幸せになれる気がしない。

確かに、中篇なだけあって、女性たちの胸中は複雑でそれを細やかに切り取られていると思います。

でも、幸せになれる気がしない。

別にハッピーエンドを望んでいたわけでもないんです。

なのに、なんだか悲しくなります。

最後の一編で救われましたが、うーん…完全なるバッドエンドというのはないのだけれど、なんだかなぁ、です。

この人の本の中では、あまり好きな部類では無かったです。