三人目の幽霊/大倉崇裕


三人目の幽霊 (創元クライム・クラブ)

三人目の幽霊 (創元クライム・クラブ)


七度狐の前作、落語シリーズの一本目。

これは連作短編で、五編入りです。


主人公はいきなり季刊落語の編集者に任命された、間宮緑。(妙に覚えやすいんだ、この人の名前)

寄席に行ったりすると、なぜかそこに事件が!

探偵役は編集長の牧、なのですが、うーん…安楽椅子探偵ってわけじゃないんだけど、ものすっごい積極的で悩みつつ解決する、って感じがないんです。

主人公がずっとそばについて、振り回されてるって感じです。

と、いうか、七度狐の時はてっきり舞台設定のためかと思いましたが、この人、文体が硬い。

どうも読んでてガチガチな感じがするのです。そういうのが好きな人もいますが、私はどうも苦手です…。この頃、女性作家さんのやわらかい感じの文章ばっかり読んでたせいかも。

五編の中、落語の寄席が舞台になるのは最初最後の二編だけです。

落語は良いんだけど…、芸名のため「○菊、菊○、○菊」…わからん。

人名を感覚で読み流そうとすると、混乱すること請け合いです。むしろ、謎解きさえもしっかり覚えてないとわからない可能性大です。

私は……うん、人名をあんなに読み返したのははじめてでした。


そのせいか、私は落語のストーリーがサブにある三篇のほうが好きですね。

後、私は無口だけれど、優しかったり、強かったりするおばあさんが大好きなんだってことがわかりました。「れんげ~」の小雪さんの時感じた同じ切なさが襲ってくるんですよ。

でも…新たなシリーズ出てもたぶん手は出しません。

私にはこの本の三篇だけが十分でした。