ピピネラ/松尾由美


ピピネラ (講談社文庫)

ピピネラ (講談社文庫)


「バルーンタウンの殺人」などの作者さん。

表紙が気に入って買いました。この表紙、帯があったほうが栄えますね。



さて、あらすじは、身長が一メートルに縮んでしまう奇病を患った奥さんと、いきなり失踪した旦那の話。旦那が残したメモに「ピピネラ」という謎の言葉があっとさ。

奥さんが旦那が残した手がかりを元に、同級生と旅をする方式です。

表紙にも鳥かごが描かれているのから分かるとおり、テーマとしては鳥かごみたいですね。

また、人とは何か、と哲学的なことの話なんで、どんでん返しや驚愕トリックは出てきません。そういうものを期待すると大はずれになりますよ。

ピピネラという言葉も、とある本を読んだ人ならすぐわかるのかもしれません。私は読んでいなかったのでわかりませんでしたが…。

まぁ、実際のところ、結局は手がかりのひとつでしかなかったわけですから、わかっていてもネタバレにはなっていないと思います。

さて、この話のとある場面で私は思いました。

恩田陸みてぇ。

いえ、わかっています。作者さんと作者さんを比較することがひどくて、つまらないことだってことはわかっています。でも、似ているんです。恩田陸の不可思議な世界な話と。

まぁ、場面としては短かったんですが、それで毒気を抜かれました。

奇病のオチなんてどうでもいいよ。

その後、どんな風に話が進んでも驚きませんよ。納得いかないこと多々あるけど。

そんなんで、最後はもやもやが残る終わり方でしたね。後味が悪いんじゃないんです。本当にもやもやしているんです。

読み口としては軽かったのですが、バルーンタウンなどのちと硬い読み口の短編の方が私の好みのようでした。


ちとネタ一番恐れていた奇病のオチでした…。そのオチ、私、そこらじゅうで読んでます。王道が悪いとは言わないけど、もうちょっとひねって下さい。発覚の仕方もひねってくださいよ…。バレ反転