スペース/加納朋子


スペース (創元クライム・クラブ)

スペース (創元クライム・クラブ)


ななつのこ」「魔法飛行」に続く駒子シリーズ第三弾!
十年ぶりですって、そんなに経っているとは思わなかったよ。
もう幾らでも待ちますんで、是非とも続きを書いてください。


で、本編は。(ただし一編ではなく、二編の中篇入り)
大好きだ!
前半ははるちゃんに宛てた手紙がずっと続きます。
やけにテンションが高かったりと、長い長い手紙です。
あぁ、どうしよう。うっかり口を滑らせるとネタバレになってしまいそう。
個人的には、この前半の「スペース」は後半の「バック・スペース」を楽しむためのものに思えます。
「スペース」も楽しいけれど、同じテンションで続いていく手紙の裏にあるエッセンスが「バック・スペース」にぎゅぅ、と詰め込まれたよう。
絶対に「スペース」だけでは成り立たない本です。
で、「バック・スペース」を読んだ後に「スペース」を読み返すと、まったく別の見方ができる、うーん、こういう仕掛け、大好きだ。
瀬尾さんもいるし、むしろどうしような、新事実もあるし。
切なかったり優しかったり、この作者さんらしいブラックは前面に出てきませんし(いえ、出てくるのも好きなんですけどね)何だか、前作、前々作と同じ、私の好みを柔らかくついてくれる、お話でした。
あー、満足。
そうそう、この本の前書きに作者が前作、前々作を読んで欲しいと書いてありました。一応これだけ読んでもわかるようになっているけれど…的な。
むしろ私は、前作でも前々作でもいいから、絶対に読んでかのほうがいいんじゃないかなぁ、と思います。
瀬尾さんと駒子の関係もだけれど、最後らへんのオチの意味深さがわからないんじゃないかな、と。
あー、それにしても、満足だ。