観覧車/柴田よしき


観覧車 (祥伝社文庫)

観覧車 (祥伝社文庫)


一度書いたものが、消えました…。操作ミスにはみなさん、お気をつけ下さい。

さて、この話の主人公は探偵です。で、連作短編形式。

ただ、探偵といっても浮気調査などをしているリアルな探偵なので、推理も一本調子。なので、恋愛小説に分類しました。




さて、今作の主人公の唯さん。旦那が失踪しています。

元々、旦那が探偵家業を営んでいて、いきなり失踪したもんで、妻であった唯が「帰ってきた時に事務所がなかったら可哀想」という思いで続けています。

あとがきに書いてあったのでわかったのですが、この話、柴田よしきさんのプロとして初依頼の小説です。それ以来、足掛け七年でやっと一冊の本になったそうです。

それで納得しました。どうも最初のあたりはたどたどしく、読んでで楽しくなかったけれど、回数を重ねるにつれ、引きずり込まれる力が増してきたように思えます。

まぁ、どうしてもこの主人公のことが好きになれなかったので、時間を忘れることは出来ませんでしたが…。

それと、馴染めなかった理由として、この話は時間の流れが早いのです。一年、二年をすっ飛ばす。勿論、そうでなければ唯さんの心境変化が急激過ぎるですが、時についての説明も薄いので、やっぱり急激に思えます。

うーん、気に入らない点は列挙すればできてしまいそうなのですが、最初にあとがきを読んでいればおそらくこの印象は違ったと思われます。

一話一話が長い間を持って書かれた話ということで、時間のすっ飛ばしは納得できたはずですし、なおかつ柴田よしきさんの書き方の違いっぷりが堪能できると思って読めば、たどたどしさも許容できたと思えます。

うん、後、私がそれなりに若いせいか、どうもこの話に書かれている深みがわからないんだ。

帰ってこない旦那を、生死もわからないまま何年も待ち続ける。また、生きていてもそれは裏切り行為になる。それでも待つ。

結果的に唯さんは自ら捜査をすることになりますが、それまでは待っている

その気持ちが理解できるようになるまで、結構時間がかかりそうなので、それまでこの話を読み返すのは保留にします。

まぁ、作者さんが何回かあとがきで繰り返していますから、おそらく続編が出ます。たぶん。その続編が出たら、また感じ方も違うのかもしれません。


この話を読むときに注意点。

関西弁が蔓延しています。

主人公も親友も、関西弁だらけ。方言で書かれた話はそんなに嫌いじゃないのですが、一色過ぎると、ちょっと拒否反応が出ました。なので、方言が苦手な方はきっと覚悟が必要です。