県庁の星/桂望実


県庁の星

県庁の星


結構前に映画化された作品。ぱらぱらっ、と捲った時にセリフばかりだったので、脚本みたいな感じかなぁ、と思っていたのですが。




実際には、当たらずとも遠からず。えっと、ですね、あらすじとしては、県庁から人事交流研修を命じられた、エリート公務員「野村聡」は庶民スーパーで働くことになります。けれど、そのスーパーは公務員の目から見て、ひどいものでありました。パートでありながら随分権力がある「二宮泰子」が教育係が任されるけれど、カチカチの役所根性丸出しの「野村聡」にスーパーの方々も馴染めない、というか敵対していきます。素直な感想としては、これの映画化を思いついたプロデューサーはすごい。話の筋だけを見ていけば、これほど映画に向いている話って無いんじゃないでしょうか。ちゃんと対立しますし、ちゃんと和解しますし、ちゃんと見所もあるし、ちゃんとドキドキする要素もある。ただし、これは、映画としての要素を見ていった場合。まぁ、ぶっちゃけて言っちゃえば、楽しくなかったんですよ。無闇に怒りながら「バカバカ」を連発する人も、人を見下しながら「バカバカ」思う人も…読んでて楽しくないんです。さじ加減が絶妙ならば、それも面白いんでしょうが、うーん、私は好きではなかったです。それと、登場人物が誰だかわからなくなるのは、私にとっては日常茶飯事なので構いはしませんが、文章に臨場感が無いような気がしました。絵が思い浮かんで来ないのです。んでもって、伝わってこない。心理描写はあるのですが、風景描写に心理があんまり反映されていないし、まぁ、共感できる部分もなかったですし。んー、種だけ見ていけば、確実に面白いのに、それを掘り下げなかったり、間の取り片が違う気がしたりと、うわぁ、何とも言えないモヤモヤ感。だからこそ、これを映画化した人はすごいなぁ、と思うのです。願わくば、映画が面白く出来てると良いんだけどなぁ。最後まで読み通したってことは、それなりだった、ってことだと思います。