ハッピー・バースディ/新井素子


ハッピー・バースディ

ハッピー・バースディ


SFだと思って借りてきたら現代の話だった本です。何でしょうか、私、SFに対してよほど縁が無いんでしょうか。
カテゴリーをホラーにした理由は、そういう感じのフォントが使われてたからです。恋愛ものじゃない…しなぁ。




さてさて、素晴らしい旦那と結婚して小説書いたら大ヒットしてしまった、主体性の無い女性「あきら」と、浪人した挙句母親の束縛が続く青年「裕司」が不運な出会いをするところから話が始まります。
超幸せなあきらは、不幸な裕司の逆恨みを買い、悪戯電話や手紙に悩ませることになります。けれど、その状況はあることを境に一変します。
で…まぁ、感想で話の九割まで話してしまってはつまらないことこの上ないので、このくらいにしときましょう。
思ったことは、あきらの心理描写が本当にホラーじみています。主体性がないって…すごい。
もう一人の主人公、裕司の母親も話に聞くだけだけど、強烈です。ただ、やっぱりこの話の主人公はあきらの方ですね。
謎の風味はひとつも無いけれど、事態の動きが面白かったです。ただ、あきらさんが誰にも会わなくなるので、結局、あきら一人で悩み解決するんですよね。
そりゃぁ、悩んでいる時に劇的なことが起こって解決するってことはそうそう無いですが、ここまで一人で解決するって…うーん、ちょっともの足りないな。
私も文章は好きでその力を信じているので有りえないとは言いませんが…、うーん、振り回される裕司さんが因果応報でもちょっと哀れに思えました。
すごいよ…あきらさん。
さて、主人公の職業が一冊しか書いていなくても「小説家」なので、どうしても著者と重ねてしまうことがあるんですが、著者の方があきらに引っ張られることがあっても、その逆はないと、あとがきに書いてありました。
この人のあとがき、大変なことでもあっけらかんとした感じで好きです。
しかし、この人が書く旦那さんは似通っている分部がありますね。本物の旦那さんもそうなのかな…。うーん、今度はこの人のエッセイでも読んでみようかな、と思ってます。