猫の地球儀 その2-幽の章-/秋山瑞人


猫の地球儀〈その2〉幽の章 (電撃文庫)

猫の地球儀〈その2〉幽の章 (電撃文庫)


別の本に手を伸ばそうとする度に、呪文のように「猫の地球儀猫の地球儀」と呟いていたおかげで、忘れることなく読むことができました。
前作、というか、前半の記事はこちら
泣けると評判の作品だったのですが…。




最初に書いてしまうと、泣きはしませんでした。
それというのも、前半の焔の章を読んだ時から、読まなきゃ読まなきゃの意識が強くなって、その分、期待度もあがっていたためだと思われます。
でも、切なかったですよ。
ライトノベルということもあって、てっきり夢万歳的な理論ばっかり出てくるかと思っていたのですが、まったく反対だったのが新鮮でした。
それがゆえに、楽のもうなんともいえない性格が、際立っていましたね。
いや、ほかにも魅力的な人というか、猫というか、ロボットはいるわけなんですが、やっぱり、この話は出番が少なかろうとも、私にとっては楽のお話でした。
焔と幽の戦いも、複雑な状況だったし、わくわくしましたよ。地球儀(死んだ後、魂がいくとされているところ)にたどり着こうとする幽とか、楽、憧れの人(猫)の焔の心境の変化とか、そりゃもう、薄い本なのですが、読み応えはバッチリです。少し文句を言うなら、戦闘シーンが多かったことでしょうか。ほかの猫たちの出番ももうちょっと欲しかったです。
でも、ネタバレになるので、うまくは言えませんが、切ないのは確かです。だって、だって…。
お馬鹿なロボットにも愛着も湧いて、総じて、いいお話でした。
何だか、読み終わり、こうして思い返してるほうが泣けてきました。なぜだか、鈴がついた尻尾がゆらゆら揺れている映像が脳裏をよぎって、切なくなってくるのです。
楽が、私は本当に大好きです。んでもって、この話に書かれている世界も好きです。
嫌いな要素がない、私好みのお話でした。


さて、あとがきに続き書けるかなぁ、みたいに書いてあったのですが、この話の世界観、あんまり深くは語られませんでしたが、かなりしっかりしているので、続編を書いて下さったら、喜んで読みますよ。