ラス・マンチャス通信/平山瑞穂


ラス・マンチャス通信

ラス・マンチャス通信


これも「SFが読みたい!」にランクインしていた作品なのですが、私はSFとの相性が悪さを、そろそろ自覚するべきかもしれません。


注・多少、ネタバレになっているかもしれません。



話は家族全員が認識しながら、いない者として扱わなければいけない「アレ」が姉を犯そうとしたところ、それに耐え切れなくなった主人公は「アレ」を殺してしまいます。
まぁ、それで施設にいったりするのですが、施設での日常の描写はなく、後で回想したり、と、よく時間がすっ飛ぶ話でした。
話の筋と追うというよりも、主人公の性格ゆえの現実との齟齬を物語る感じでした。
で、「アレ」とか「犬」とかわけわからん生物がいたり、他にも謎があったりとわくわくして、読む気力は持続したのですが…。
読み終わった感想は一言。
で、結局何だったんだ。
消化不良なお話は沢山ありますが、これは五本の指の中に入りそうです。
話の主が、現実との齟齬にあるとすれば、まぁ、何も明かされない決着の仕方は良いのかもしれません。
けど、ミステリーに馴染んだ私にはどうしても、ダメでした。
結局、「アレ」って何だったんだっ、あいつらの関係は何なんだっ、と叫びたくなってしまうのです。
考えれば考えるほど、深みにはまっていってしまいます。
一応、強引にねじ伏せるように考えれば、筋が通らなくもないですが…、やっぱり、強引過ぎて違う気がします。
この世界は別の世界なんだと思えば、生物について納得は出来ても、黙認していた意味がわからない。その他、もろもろ、わからない。
誰でもいいので説明を求めたくなってしまいます。
文体的には好きな部類だったので、この消化不良は残念でした。