子供たち怒る怒る怒る/佐藤友哉


子供たち怒る怒る怒る

子供たち怒る怒る怒る


五日ほど前に読んだので、実はすでに記憶が曖昧なのですが…。元々読んだ本を数えるために書き始めたものなので、ご容赦ください。




そんなわけで、佐藤友哉さん。本当なら鏡家シリーズを読もうと思っていたのですが、なぜだか図書館に返却されていないのですよ。思えば、私がこの人のことを知ったのはこの本がきっかけだったかもしれません。
とりあえず、問題作ということだけ聞いてたのですが、うん、グロイ。
表題作である長編と、いくつかの短編が収録されているのでが、すべてにおいて、「子供たちが怒る」話なのです。
表題作の「子供たち怒る怒る怒る」では、転入生の主人公は、振り分けられた班のうちで行われていたゲームに参加することになります。それは、連続する猟奇殺人犯「牛男」の次の犯行を当てること。けれど班の中で、異様なまでの的中率を誇る少女がいて…。あらすじとしてはあってますが、あてにはしないで下さい。
読み始めた時から、子供たちに理不尽に背負わされた様々なことが影のようにまとわりついているのですが、まさかあんな風に解消するとは思いませんでした…。最後へ向かうにつれ、ぶっ飛んでいきます。鮮烈な怒りは、怖い。いえ、褒めてますよ。題名の意味が、とてもよくわかります。文句があるとすれば、いくらなんでもあそこまでグロくしなくても良かったんじゃない、と思いますが、それもこの作家さんの持ち味なのでしょう。クマを食べさせられるあの異常さは、なかなか書けないと思うなぁ。
で、他の短編も、主に流れは同じです。もうちょっと変化をつけてくれたほうが嬉しかったかも。最後らへんになってくると、ちょっと食傷気味になってきました。
同じなんでですよ。理不尽な現実、どうしようもない現実、自分が悪くないのに背負わされる罪や罰と現実、そんなものを破壊し、逃れるために子供たちは怒ります。私はどちらかというと、怒りという感情があまり湧き出ないほうなので(溜まってから出るので、たちは悪いのですが…)、同意するというより、よくこんなに怒るな、という感じでしたね。ただ、完全ファンタジーが入ってくるので、現実的な描写が好みの人には、ちょっときつかもしれません。