砂糖の世界史/川北稔 〆


砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)


私にしてはかなり珍しい部類の本です。砂糖という「世界商品」を巡る歴史の本なのですが、案外に面白かったので紹介。ちなみに、読んだ理由は至極簡単、課題図書だったんです。




そんな後ろ向きな理由で読み始めたので、とりあえず、頭の一部はずっと、この章が使えるかどうかに対して動いてました。特に、最初のあたりで地理が出てくるのですが、いやぁ、眠かった。私の頭には世界地図はおろか、日本地図でさえしっかり入っていないので、把握することが無理なのです。でも、それを通り越すと、楽しかったですよ。「砂糖」というのは、昔は超高級品だったことは知っていたのですが、それがプランテーションに繋がり、奴隷制度に繋がり、産業革命に繋がり、アフリカの貧困問題に繋がっていくと、知らないことがいっぱいで楽しかったです。特に面白かったのは、ヨーロッパの上流階級の人々の、その優雅な生活と、それゆえに虐げられる人々について。私は平安時代が好きで、それに通じるものがあるのです。優雅な生活をしている人々は、それがどれ程の犠牲の上に成り立っているのか、全然知らない。この無知っぷりに、何故だか私はときめきます。他にも、お茶に砂糖を入れるのは完全なる金持ちのシンボルだったとか、お茶と砂糖側から見た、アメリカ独立物語とか、砂糖とお茶が大して高級じゃなくなった時の、上流階級の「お茶を飲む」とほかの方々の「お茶の飲む」の意味の違いがわかったり、とか、知らないことを知るのは楽しいです。課題図書として、眠気と戦いながら読んだせいで、途中でうつらうつらして、夢で大層な歴史絵巻を見ることが出来ました。おかげで、微妙に知識が間違っている可能性もなきにしもあらずなのですが、まぁ、楽しかったので、良しとします。こういう感じの本はさっぱり読み慣れていないのですが、岩波ジュニア文庫だったこともあってか、読みやすかったですよ。細かく章分けがされているので、興味があるところの拾い読みってことも出来るでしょうし。お勧めはやっぱり、上流階級の人々のところ。たまにはこういう本を読んでみるのもいいなぁ。ちなみに、私は歴史をさっぱり勉強してないので、その分の新鮮味があったのかもしれません。こういう本のお勧め、誰か教えてくれないかなぁ。