GOSIC?-ゴシック・愚者を代弁せよ-/桜庭一樹 〆



夏の間に既刊のものを読んでしまおうと意気込んでいたのですが、見事撃沈。それでも、私には珍しいハイペースで進んでます。



今回の話は、探偵役でビスクドールの如き「ヴィクトリカ」がとある本を手に取ることではじまります。それは昔、学園に居たとされる錬金術師の回顧録。そして謎を解いてみたまえ、と本に挑発された「ヴィクトリカ」は、やる気になります。そして、時を同じくしてその錬金術師が今も潜んでいるとされる時計塔で密室殺人が起き…。

ただし、今回は副題を勝手につけさせてもらうのならば「ヴィクトリカ、アブリルと対面、の回」「アブリル」の上には、女友達ともライバルともルビを入れたい気分です。

二人揃って喧嘩をおっぱじめるは、視点の持ち主の癖に影の薄い助手役「久城」を取り合う…?し。まぁ、勝負はある意味ではハッキリ決まっているのですが。

謎は、半分あたりの半分予想外。私の推理は直感のみなので、結構珍しいことなのですよ。まぁ…えらく判りやすかったので、たぶんそこに重点は置いてないのだと思います。

しみじみとこのシリーズは「ヴィクトリカ」が人間味を増していくほどに、反比例して謎が普通になっていくなぁ。まぁ、別の言い方をすれば「かわいい」と重点に置いたキャラクターに構成になってきてしまっています。うん、読むのなら一巻やせめて二巻からがおススメかな。やっぱりあの重厚な「ヴィクトリカ」を知っているから、今の「ヴィクトリカ」のあざといまでの行動にくらくらしちゃってるわけですから。

話もちゃんと次へと進む伏線っぽいのとか、「ヴィクトリカ」の出生の微かな秘密とか、結構盛りだくさんです。渋くてかっこいい決め場面もちゃんとありますしね。んー…ただ、やっぱり今回は「ヴィクトリカ」と「アブリル」の対面と関係のほうが大きかったなぁ。個人的に、それがあまり気に入らなかった…。ただ単に私が色恋沙汰にときめかないだけなので、好きな方には一番わくわくするか、ときめくかの物語かもしれません。それにしても…お前ら、幼稚園児か…。頭の良さと日常生活の知識はまったく別なのですね…。

あっという間に読ませてしまうその引き込み方はさすがです。