簡易感想。


とりあえず、溜まったものを簡単にメモをすることで、片付けることから始めます。てなわけで、ひと言感想第二弾。全然、ひと言で終わりゃぁしないのですがね。
感想を書いたのは
・少年検閲官
・宇宙の声
狼と香辛料
落下する夕方
・妖精配給会社
・世界の中心、針山さん    です。




少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)


Amazonさんがメールにてお勧めしてくれた一冊。確かに、あらすじを読む限り、私のときめく単語が並んでおりました。「書物が禁止され、見つけ次第燃やされる」世界で旅をする少年「クリス」がとある町で首なし屍体を見つけたり、不思議な少年に出会ったりするのですが、この世界「殺人」が無いんです。その感覚のずれっぷりの居心地が悪い。あ、いい意味でですよ。全体的な流れとしては、このまどろっこしい世界観ゆえに、少々中だるみを感じてしまいました。いえ、理解できてないくせに説明が長い、なんて、言うほうが失礼なのですが。んー、だからか、あんまり最後に驚けなかった。いえ、面白いんです。そうくるか、って。ちゃんとこの特殊な世界観の意味があります。でも、だからこそ私の知ってる常識と乖離してて、困る。実際…なぁ、使えるのか、おい。少年検閲官自体は素敵だし、この主人公も素敵なので、シリーズ化しそうな雰囲気です。んー、この世界観を引っ張っていくのなら、今度はもう少し、説明を簡潔にお願いしたい、かな。シリーズになるなら、手に取りますよ。


宇宙の声 (角川文庫)

宇宙の声 (角川文庫)


私のひとつの傾向として、旅行するとなると、星新一さんの本を買いたくなります。そんなに読んでないのですが、一番最初が旅行の時だったから、かな。で、この本は中篇二編収録されてます。
何というか…RPGの脚本みたい。この言葉が褒め言葉なのか、その逆なのか、私もよくわかりません。でも、RPGの脚本みたいなんですって。少年少女が知らない間にテストとか受けて、宇宙に行くことになって、大きな問題にぶちあたって、その問題を解決するために、色んな星を巡って…。何だか、フラグとか、「○○はアイテムを手に入れた」的なセリフが頭を回りました。基本的に表現が淡白なので、それがさらに脚本っぽさに拍車をかけてます。後、どうやらこれは、ジュブナイル向けに作られたらしく、これっぽちも毒気がありません。えぇ、さっぱり。そうだなぁ、読み終わった時に、不思議な気分になれます。面白いつまらない、じゃなくて、あぁ、こんな話もあるんだな、と。…映像化したら、面白そうだなぁ。ゲーム化は、あまりに真っ当すぎて向かないような。



狼と香辛料 (電撃文庫)

狼と香辛料 (電撃文庫)


ずっと前から気になっていた本。私はこういう女の子が正面を向いている表紙に弱いです。知った時は出たばかりの頃だったのですが、あっとい間に四巻まで出ています。早い、てか、私がのろいのか。賢狼「ホロ」と旅商人「ロレンス」が一緒に旅をする話なのですが、怪しい商人が出てきたりして、お金にまつわるミステリーを体を張って解いてくれます。…こういうと、別の話に聞こえるな。人がバタバタ死んだりしませんし、魔法もありません。派手さは無いけれど、その分、空気が良い。賢狼「ホロ」が、ものすんごく、素敵なんですよ。最初読んだ時には超絶美少女な顔して「わし」とか「若造が」とか言ってるのに違和感があったのですが、むしろ、それが良い。どんどん魅力的になっていきます。商人の方も方で「ホロ」に見とれつつ、やり込められて、悔しがる。あぁ、この二人の関係、素敵だなぁ。色恋沙汰が殆ど絡んでいないのに、絆ってもがよくわかる。「ホロ」は可愛いし。実を言うと、為替の仕組みが未だによくわかっていなかったりするのですが、それでも十分楽しめます。派手ではないですが、商人との値段交渉や、後半の怒涛の展開は十二分にドキドキさせてくれますよ。馴染みのない世界なのに、すんなり入っていけるし、キャラがしっかり立っている脇役もいるので、これからも楽しみ。二人の旅はどこに向かうんだろう。



落下する夕方 (角川文庫)

落下する夕方 (角川文庫)



手書き風の文字は素敵で、ついつい表紙にうっとりする一冊。八年間付き合った彼氏「健吾」から突然別れを告げられた「梨果」。そして、「梨果」はその内に、彼氏の新しい恋人「華子」と同居することになる、ってのが大体の筋。相変わらず、大きな出来事が起こるわけでも、起きたとしても、それが煽られるわけでもない。でも、日常を描いてるようで、実はまったく違うものが描かれているその差異の不思議。一々自分の価値観とかち合わせていこうとすると、ツッコミ疲れます、きっと。でも、それが当然、なんだよなぁ。この本の中では。三人の関係がとても不思議で特別なもので、特に「華子」の特別さが際立っています。むしろ「華子」という存在を書くために、この本ってあるんじゃないなかなぁ、と思ってしまうほどに。私が「華子」に惹かれたかと聞かれれば「んー…」です。あの、友人や知り合いにはならない。でも、こういう人に憧れることは…ある。それは、どうしようもなく、あります。別れ、からはじまる話だからだ、全体的に雰囲気が切ない。そして、最後も、切ない。江國香織さんの話は最後はどんな方法にしろ、どんな場面にしろ、爽やかさがあることが多い気がしているのですが、この話は、爽やかの前に、切ないです。たぶん、どこかしら異色。その異色の理由は一つの出来事を上げれば、すんでしまうのかもしれませんが、んー…でも、それだけではない。これから梅雨の季節に読んでみると良いかも知れません。何だか、気分的に、梅雨が似合う本な気がするのです。



妖精配給会社 (新潮文庫)

妖精配給会社 (新潮文庫)


ショートショートには長いし、長編というには短い、いくつかの話の集合本。えぇっと…すみません、手元に無いので、詳しい話が何も出来ません。あ、ただ、表題の「妖精配給会社」ってのが、てっきり可愛らしい話かと思っていたのですが、暗かったです。宇宙からやってきて、ひ弱で、でも、人のことはいっぱい褒めてくれる「妖精」。で、「妖精」を配給する会社にいる、耳の聞こえない定年間近の人の一人称なのですが…、あの、腑に落ちないわけじゃないけど、話が「妖精」が普及した過去形の云々なので、動きが無い。てか、未来が見えない。見えてるけど、そんな未来はあまり見たくない。ある意味、「宇宙の声」に欠片もなかった、居心地の悪い毒が含まれまくっています。たしか、全体的にそんな話が多かったように思います。文体としてはこっちの方が好みかも。んー、でも、一番好きなのはショートショートだなぁ。今までで一番、読み応えはありました。それが良いか悪いかは、個人の趣味によると思います。




ふと思い出したので、追記。もう、何ヶ月前に読んだ本かは覚えていません。でも、未だに印象に残っているんですよ。えぇっと、ドタバタドタバタ、超ドタバタ連作短編集。もう、あんまりにドタバタしてるゆえに、あちこちで「あれ?」と違和感を感じる程です。何というか、時々はみだしてるよ、みたいな。それで雰囲気は統一されてないし、話も時々よくわかんないし、登場人物多いし、設定も意味わかんないの付属されてるし、流れも強引だし。でも、恐ろしいのが、それがこれっぽちもマイナスになってないんですよ。もう、最後のオチがゆるかろうと許すよな、的な。これでいい、むしろ、これがいいだろ、的な。マイナスの殆どがプラスになっている稀有な例なんじゃないだろうか。一言で言うなら、わけのわからん話の集合体。でも、そこまでぶっ飛ばれると、素敵ですよ。時々ついていけなくなりましたけど。題名が意味するところで、体がへなっ、とする程脱力できます。ただ、キャラが無茶苦茶濃いのが揃っているのですが、全員が濃いので、埋没してしまうような感じになってしまう人がいたのが残念。ザワザワしだすと、負ける人がいるのは当然なのですがね。もっと、全員にしっかり意味づけがあればなぁ、と思わずにはいられません。でも、今見たら、二巻も出てるみたいなんだよなぁ。そこも解消されてるかも。でも、…どうするんだろう、この話。いや、幾らでも転がりそうだけど…ブレーキがこれっぽちもかかってなかったら、どんな話になってるんだろう…。こういうのを、怖いもの見たさ、というんでしょうか。うん、とても気になる。



さて、忘れている本がなければ、これで溜まっている本は全部です。なので、次回からは通常バージョンに戻ると思います。…次がいつかは、神のみぞ知る、ですね。