ワーキング・ホリデー/坂木司


ワーキング・ホリデー

ワーキング・ホリデー


あけましておめでとうございます。ブログのデザイン変更しました。深夜からはじめて朝まで掛かったよっ。でも、これでIEとかの無茶苦茶表示は直ったはず。




新年一発目は、坂木司の連作短編集。元ホストの運送屋の兄ちゃんと、突然現れた、料理上手の息子の話。かなり昔に読んだ話なんですが、面白いですよっ! このまったりとした進行の仕方がたまりません。ミステリーではありますが、謎のトリックよりは人情味重視。ちょっと変わったホスト時代の馴染みや、運送屋の面々。そういう人たちが一々素敵です。ちょっと影が薄いな、と思う人もいますが、だからこそ濃い面々が目立つわけで、そういうバランス感覚も最高です。

そして、何よりもベタベタなくらいな親子愛。……愛って打つだけで恥ずかしいのですが、ヤンキーっぽい主人公と、良妻賢母っぽい息子の掛け合いがたまりません。相変わらず料理がものすっごいおいしそうだしっ。そして、ドロドログログロの黒さがない。昔付き合ってた彼女が生んだ子どもが突然「息子です」と尋ねてくる、という「おい」といった感じの設定なのですが、恋愛面に関するダーク面は影を潜めている。それがいい。その代わりにあるのは、ちょっと切なく暖かい感覚。

それと、坂木司はどんどん文章が読みやすくなっていく気がします。くどくない。明るくて楽しくて、ちょっとほろりとできる、いいなぁ、としみじみ思いました。続編が欲しいといえば、欲しいけど、今度は別人物視点がいいなぁ。ホストの同僚の話とか。