根性のある魔神の活躍いかに…?
- 作者: ジョナサン・ストラウド,金原瑞人,松山美保
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2003/12/13
- メディア: 単行本
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帯の「落ちこぼれの魔神にだって意地と根性はあるんだぜっ」との売り文句にときめいた。
分厚い割に半日ほどで読め、映画化も決まっている程のわくわくする物語だった。
出てくる魔神も落ちこぼれに見えないほど、とても元気がいい。悪魔と呼ばれるのが嫌がるのも頷ける、えばっててるが結構イイ奴だ。
彼(バーティミアス)が思う存分暴れてくれれば、文句をつける気にはなれない。
だが、もう一人の主人公、バーティミアスの主人、ナサニエルがどうしても気に入らなかった。
野心に溢れ、子供とは思えぬほどの思い切りの良さ、そして、泣き虫だが、頭はよく回る。ここまでならいい、ここまでなら。
引っかかったのは、ナサニエルの罪悪感の偏り加減だ。
以下ネタバレ注意
ナサニエルは、後半、自分のことを大切にしていてくれた人を、自分のせいで死なせてしまったと、罪悪感に苛まれることになる。
バーティミアスがガンガンキツイことを言われ、なかなかひどい状態だ。
かなり落ち込み、思い悩み、外に出てみても、魔術師じゃない人間を馬鹿にして、バーティミアスに怒られたりする。関係がひっくり返っているが、気にしてはいけない。
そして、終盤、ナサニエルが故意ではないが、とある人を殺してしまう。
それのまぁ、軽いこと軽いこと。一昔のアメリカヒーローよりほんの少しマシ程度だ。 死んだ人が中ボスとしたら、大ボスに「○○には死んでもらった」とのたまう。
敵ならば容赦しないのか。バーティミアスのほうは誰も殺してないぞ。
このような、ナサニエル少年の罪悪感の偏りが、私にはどうしても理解できなかった。
最後にフォローしておくが、本の中には魔術師ではないのに妖霊が見える少年少女や、大ボスたちに手を貸した誰かの存在など、本の中では解消されていない様々な謎が残されている。バーティミアスは三部作なので、残りの謎の解消には期待が膨らむ。
そして、二部の間に、ナサニエル少年が少しでもまともになれば、と願わずにいられない。