ゆめつげ/畠中恵

 畠中 恵さんの時代物。
しゃばけや、ねこのばばで出てくる妖怪たちは今回は一休み。
 代わりに、夢告と呼ばれる、夢で見えぬものを見る能力を持つ神官が主人公。
 その能力をかわれ九年前に行方不明になった新太郎という名の子を探すように頼まれる。
 話が進むにつれ、当たり前の如く人が殺されてしまうが、生臭さを感じさせないのはこの作者さんの特徴だろう。
謎解きとしては、何が謎かしっかりと提示されないまま話が進むので、少々退屈はする。神社に関する難しい単語が出てくるのも、退屈さを助長されてしまう。だが、終盤あたりで、やっと筋が見えてきて、「おぉ!」ではなく「なるほど」「あぁ、そうだったんだ」と思う。本格的でもなく、人が死んでいるのでほのぼのともいえない。
では、何が読み進める力をあたえるかと言えば、主人公の体調だ。
 夢告は体に負担がかかる、と説明されているが、主人公は中盤から終盤、ずっと死にそうだ。
いつ、ぶっ倒れても反応しなくなってもおかしくない。主人公の弟も夢告をしては現実に帰れない兄をよく殴る。
瀕死の状態になると流石に心配する。
 そんな瀕死の主人子の視点で読むので、読んでるほうが余計な心配をしてしまう。
 頼りない主人公がお好きな方、時代物で微ファンタジーがお好きな方。
ねこのばば、ぬしさまへでは何か物足りなかった方、おすすめです。