ささらさや/加納朋子

ささらさや (幻冬舎文庫)

続編が出たので、その前にこっち。

加納朋子の作品は結構読んでいるので、思ったのは「本当に、ほっ、と切ない話だなぁ」

螺旋階段のアリスなどを読んだことのある人はわかると思いますが、この作者さん、時々ブラックです。

でも、今回はあらすじに偽りなし。いや、他のに偽りがあったわけじゃないですけど。

主人公のさやさんは、本当に弱く優しすぎる人です。よく、その弱さは強さだよ、などの理論展開する話がありますが、この人は、本当に弱いです。

でも、アクの強い喧嘩ばかりのばあちゃん三人組。ギャルっぽい気の強いママさん仲間、そしてその子供。人に乗り移ることで姿を見せる幽霊の夫。などに囲まれて、何とか生活をしていきます。

アクションも何もないのに、さやさん大丈夫かしら？とハラハラドキドキ。

夫をはじめ、ほかの人々が現れると「あぁ、安心」と一息。

暖かく、切なく、そして、どうにか強く。

優しい気持ちになりたい時にぴったりの本です。

夫さんが元気なのも、とてもいい。大也君が愛しくて仕方ありません。だって、咎めるように　ネタバレのため反転「なかした」って君…。

ただ、ちょっと苦言があるとすれば、この不思議な現象を最後に理論展開したこと。

そこは、どうせなら曖昧のほうが嬉しかったなぁ…。

あぁ、でも、続編もでたので、そっちへの伏線だったのかも。

ってなわけで、そのうち続編「てるてるあした」でも読もうと思います。