二人道成寺/近藤史恵


二人道成寺 (本格ミステリ・マスターズ)

二人道成寺 (本格ミステリ・マスターズ)

探偵今泉シリーズの中の一冊。色々見てたら結構いっぱい出てて、これがシリーズ何冊目かさっぱりわかりません。

でも、探偵シリーズというより、「歌舞伎シリーズ」「小菊シリーズ」って言ったほうがいいのかも。


・私はこのシリーズの山本君に一言で言えば萌えてます。よって、いつもより評価の基準は私の趣味全開状態です。


てなわけで、今回の事件も梨園が舞台で、小菊さんが語り役。で、その合間合間に別人の視点が混ざる、「ねむりねずみ」と同じような方式です。

個人的にこのシリーズに求めるのは山本君の出番なんですが…、うん、出番は増えた。でも、何か物足りない。

よくよく考えてみたら、やけに探偵小泉とのからみが少ないんだ。山本君を溺愛してやまない小泉がいないと何だか寂しいんだ。山本君に恋人が出来て隠れて嫉妬する小泉とかが見たいんだ。

……えぇ、っと、ごめんなさい。言い出すときりがないので、話の本筋いきましょう。

今回は正反対の女形と、その片方の妻にまつわるお話。

半年前に片方の女形の妻、美咲は火事にあい、意識不明のまま病院にいる。

なぜ、彼女は火事にあったのか。犯人は誰なのか。

ドロドロとした関係が浮かび上がったりしますが、そこに歌舞伎がまじると何だか現実味、みたいなのを帯びます。

で、あぁ、今度は、女形の話だったんだなぁ、と思いました。

「ねむりねずみ」が天才の怖さの話なら、これは女形の怖さのお話です。

こないだより、歌舞伎特有の言葉なくて、詠みやすかったです。