安楽椅子探偵アーチー/松尾由美


安楽椅子探偵アーチー (創元クライム・クラブ)

安楽椅子探偵アーチー (創元クライム・クラブ)


安楽椅子っつうと、私は米の電気椅子を想像するけれど、それとはまったく違いますよ。(当たり前だ)
「バルーンタウン」シリーズの著者の、妙な探偵物語。何だかこれも、続きがありそうだ。


小学五年生の主人公が誕生日に渡されたお金で買ってきたアンティークの椅子。
実はその椅子は喋ることができる、「名探偵」だった!というお話。
シャーロックホームズ並の観察力と、自分ではまったく何もしない(むしろできない)様は、まさに安楽椅子探偵。いや、本当に椅子なんですけどね。
ついでにこの探偵、本格的に人と喋ったのは主人公がはじめて、そのためか、異様にセリフが長い。さすが名探偵。でも、読むのにちょっと疲れるよ…。
主人公のほかに、ミステリー大好きな女の子も登場。基本的に、騒ぎや謎をもってくるのはこの子です。
謎がいくつかあるけど、ほのぼのもあれば、冷たい感じのするものもあります。ちょっとこじつけ?と思わないこともないけど、まぁ、ご都合主義でいいや。
一番最後の謎は、すごいですよ。長年生きてると色々あるだろうけど、謎が日常から随分昔に遡りますから。
その最後については「ん〜?」と思うところもあるけれど、これをライトな探偵物語として読めば問題ないと思います。むしろ、あれ以上話がこじれたら、主人公たちがかわいそう過ぎる。
バルーンタウンほどの衝撃、というか、ものすっげぇ珍しい設定!ってわけではないけれど、なかなか楽しかったです。
ところでアーチー、お前、居眠りしすぎだ。



ちなみに文庫も発売されましたとさ。


安楽椅子探偵アーチー (創元推理文庫)

安楽椅子探偵アーチー (創元推理文庫)