蠱猫-人工憑霊蠱猫01-/化野燐


蠱猫 人工憑霊蠱猫01 (講談社ノベルス)

蠱猫 人工憑霊蠱猫01 (講談社ノベルス)


京極夏彦関係でなんとなぁく題名を知っていて、それからずっと気になっていた本です。

図書館にもないし、書店にも置いてないしで手に入れるのに結構時間がかかりましたが、おまけの栞がすんごく可愛かったので、満足してます。




で、学園ものだと聞いていたのでてっきり、高校生とかまだ若い大学生がわいわいやる話かと思っていたのですが…、一番最初に登場したのは図書館秘書の「小夜子」さん。

地味な生活を送っていた彼女は、まぁ…色々あって禁断の書『本草霊恠図譜』を手に入れます。で、それを狙う「有鬼派」と呼ばれる者たちが次々と襲いかかってくる…と。

本草霊恠図譜』には妖怪を具現化する力があって、小夜子さん自身にもかっこいい黒猫がついています。

覚醒などの言葉も飛び交って、設定的には古めかしいゲームに似ているんじゃないかなぁ。

で、小夜子さんが覚醒したのは良いのだけれど、視点はそこで変わります。

大学の仲良しグループ四人のうちの一人「白石優」。

てっきりここで、やっと学園ものらしい皆で推理や戦闘というパターンになるかと思っていたのですが、全然違いました。よくよく見てみれば、学園もの、ではなくて、学園都市もの、だったんですよ。

で、仲良しグループは時の流れは早いし、大学院生にはなるし、そもそもこの白石、この学園都市からいなくなるし、で、話が全然進まない。

なので、裏表紙のあらすじは嘘だと思います。壮絶な戦いがあったのは、最初と最後だけじゃないですか。

この巻だけなら、白石の成長ものです。凶悪な計画とか、殆ど話に出てきませんもん。

でも、この話、楽しいです。と、いうか、楽しくなりそうです。白石の成長は放っておいても、楽しそうな要素が色々と詰め込まれてている予感がします。

浮いた存在感を放つかわいい「石和」さんとか、スキンヘッドの兄ちゃんとか、そもそも私の大好物の猫とかっこいい小夜子さんとか。

妖怪、覚醒、という古めかしい設定なので、とっつき安いですし(時々挟まれる説明やら薀蓄やらはありますが、京極堂に比べれば…)暗いとも違う影の部分がまたわくわくするし、今回で何とか舞台と俳優が揃ったみたいな感じなので、次の話に期待です。もう四巻目まで出ているようですし。

ただ、ひとつ心配なのは、この話でやっと舞台が整ったように、話が遅々として進まなかったらどうしよう…。アクションものでもあることですし、出来るだけスピードは速いほうがありがたいなぁ。