僕と先輩のマジカル・ライフ/はやみねかおる


僕と先輩のマジカル・ライフ

僕と先輩のマジカル・ライフ


何となく、先輩関連で「私の優しくない先輩」と一緒に借りて来た本です。
長編かと思ったら、連作短編集でした。はじめて読む人です。




この頃新しい人にばかり手を伸ばしていたせいか、この本を読み終わった時、ほっ、としました。
話は、真面目過ぎて変人な主人公「井上快人」が、大学に合格し、自立しようと激安宿舎に世話になるとこからはじまります。すると、宿舎の幽霊騒ぎからはじまって、変な先輩「長曽我部慎太」に関わりあいになった挙句、あやかし研究会というわけのわからん団体に加入させられ、春夏秋冬、妙な事件が身の回りに起こり…。
そして、本物の霊能力者、主人公の幼馴染「春奈」もいます。
新鮮味はないけれど、安心できる設定です。
学園もので、ほのぼのしてて、楽しくなる掛け合いがあって、ちゃんと謎があって、私にとっては、本当に安心するお話でした。
人の、ちょっとした悪意とか、秘密とか、隠されたものを、ひょい、と拾うような謎の解き方がいい感じで、この先輩も、いい感じでした。
話の謎としての伏線は残っていないのだけれども、この先輩については謎だらけ。
マークを水性マジックで胸にかいてあるのだけれど、いつもは無茶苦茶なあやかし肯定派の人。それが、このマークが流れると真人間になって、謎をすらすら解いてしまうのです。これが、楽しかったです。ただ、この真人間になった先輩は、「この謎はあやかしなしで片付けられる」というしか、言ってくれません。よって、主人公は頭を悩ませて、理論的な推理を導き出す。…という、話がありました。
と、いうのも、この話、出てくる人々すべてが探偵みたいなものなんです。
それぞれの役割があって、他の二人が非協力的なので、結局推理を述べるのは主人公が多いのだけれども、誰がヒントを見つけるとか、誰が推理を述べるとか、固定されていないんです。
それが、またわいわいさ加減を増やしていて、楽しい。
すべてが安定していて、ほっ、と和めるお話でした。
先輩にまつわる謎が残っているし、もっとこの三人の活躍をみたいので、続編希望です。