うそうそ/畠中恵


うそうそ しゃばけシリーズ 5

うそうそ しゃばけシリーズ 5


しゃばけシリーズ最新作。この頃、シリーズものをさっぱり読んでいなかったので、懐かしさもありつつ嬉しい心地がしますよ。
シリーズ第四弾「おまけのこ」の記事はこちら



しゃばけ」以来の長編となるこの話なのですが、なんと、若だんなが旅に出ます。このあらすじ聞いた時から、え、大丈夫なの、とドキドキしました。若だんなは超がつくほどの、病弱体質ですからね。その病弱を治すために、湯治に出かけます。このあらすじを聞いた時に感じた「え、あの佐助や仁吉が許すわけ」と思ったりしましたが、実はこれ、お狐様からのお告げがあったからなんですね。そういうところで、モヤモヤが無くてよかったです。
で、旅に出たのはいいものの、船に乗った途端に激甘手代たち二人の姿は見えなくなるし、兄の松之助と何とか宿についてみれば、誘拐されるわ、襲撃されるわ、若だんなの体調がとても心配でしたよ。
そのうちに、かわいい女の子は出てくるわ、町の方々に狙われるわ、…こうやって書いてみると、忙しないですね。でも、実際には、結構まったりしています。誘拐されても、危機感ないですし。「もうちょっと危機感持てや」と言いたくならないこともないのですが、このシリーズにドキドキはあっても、ピリピリは似合いませんもんね。
そんなわけで、結構危ない目だったりするけど、いまいち迫力が足りない話の進み方をしていきます。んー、同じ長編ってことで比べてしまうと、しゃばけの方がドキドキして楽しかったですね。…そういや、命を狙われるって事では、今作も前作も一緒。若だんな、ちょっと不憫。
シリーズものって事で、「いつものこと」で安心して、嬉しくなってしまうので、もしこの一冊だけを評価した場合、んー、可もなく不可もない感じですね。今作に出てきた新キャラたちは気に入りました。家鳴の出番も多くてほくほくです。女の子もかわいいし。まぁ、不満があるとすれば、あれほど激甘な手代二人が緊急事態といえど、若だんなをひとりぼっち(実際は兄付き)にするかなぁ。
まぁ、多少の不満はありつつも、まったりして楽しい、清涼剤のようなお話でした。