新本格魔法少女りすか/西尾維新 〆


新本格魔法少女りすか (講談社ノベルズ)

新本格魔法少女りすか (講談社ノベルズ)


一度書いた感想を凡ミスで消してしまった本です…。それすらも結構前の事。たぶん続編を読むので、一応簡単に書いておきます。

*どうしようもなく、第一話の設定的ネタバレを含みます。




新本格魔法少女」の看板に偽りなし、というのが素直な感想。押さえるべきポイントはしっかりと押さえている印象があります。あの「変身」の方法はなかなか。ちょっと最強すぎるのが珠に瑕ですが。

話は魔法の国「長崎」から転校してきた魔法少女「りすか」と、頭が良いんだか知らないが異様に冷徹な小学生が主人公。二人は「りすか」の父親を探すため、様々な魔法 使いを狩っていきます。驚いたのは、りすかの喋り方。日本語を英語に翻訳して、それをさらに日本語にしたような喋り方をするのですが、これって、書くのかなり大変なんじゃないだろうか…。最初は違和感があって読み難かったですが、慣れていくとむしろ心地よくなっていきました。うん、いい。ついでに「りすか」は色んなところでずれまくっています。

さて、第一話「やさしい魔法は使えない。」は、同時投身自殺が起きたところから話が始まるのですが…。謎としては珍しく勘で当ててしまったがために、評価はなし。それでも設定を語る、という点ではわかりやすいし、結構引き込まれました。「りすか」の魔法の使い方が色々出てきて、それも結構楽しいです。

第二話の「影あるところに光あれ」は、「りすか」の同級生が魔法使いに攫われた、というお話。一番「魔法少女」っぽい対決物でした。犯人がわかっていて、対策をして…で。まぁ…あの方法はどうだろう、と思いますが…。二人の力関係がハッキリしてます。主人公に対してツッコミどころがあるといえばあるのですが、文句は言えない。言っちゃいけない。この話、結構第三話に響くんですよ。

第三話の「不幸中の災い。」は、「りすか」の兄ちゃんっぽい人登場の回。うん、この兄ちゃん好きだ。主人公が苦戦しまくるさまがとても良いです。私、主人公の性格、あんまり好きではないんだ。それにしても、この話は凄いなぁ、と思います。何故って、どんなに妙ちくりんな設定してようと「お前ら、それには気付けぇ!」と言いたくなる、こいつらの不器用さというか、鈍感さというか…。眩しいくらいですよ。あぁ、全く思い出すだけでもまどろっこしい。この回で主人公と「りすか」が一気に愛しくなりました。

「お前ら…」と脱力したくなりますよ。そこで青春をするな。いや、それが良いんだけれども、あぁ、たぶん、おかしな設定の中だからもう、このベッタベタな感じがむしろ光って見えるのだろうなぁ。ベッタベタです。もう、どうしようもなく。そういう意味では、設定自体もかなりのベタベタなのですけどね。

続編も出ているようなので、読んでみようかな。短編の集合体なので、読みやすいし。まぁ、問題があるとすれば…少々表紙が恥ずかしいくらい…です。