クローディアの秘密/E.L.カニグズバーグ


クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))

クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))


たまには有名児童文学を。あんまりに有名なあまりにあらすじをすっかり知っていたわけですが…。




読み終わって題名見て、そのまんまっぷりに思わず笑ってしまいました。すごいよ。このタイトルってかなり秀逸な気がします。

さてさて、話は都会っ子な「クローディア」が財布代わりに弟を連れて博物館に家出を計画します。何故かはわかりませんが、外国の児童文学は「!」が使われることが多くて、一々私はその激しさに引くのですが…まぁ、結局それはこの本でも変わりなく。むしろ、子供っぽい一々理解するのが大変なずれた会話についていくのも精一杯でした。だって、明らかに文法的にはおかしいのだもの。わざとなのはわかってはいても、慣れてないときついものがありますね。

でも、話の筋はとてもおもしろい。これ、映像化とかしたのでしょうか。博物館のベッドに寝てみたい、とか考えてみたことないですか。それをこの子たち、あっさり成し遂げてしまうんですよ。設定が素敵です。博物館に家出っ。想像しただけでときめくじゃないですか。あ、ちなみに、家出先は「メトロポリタン美術館」。…警備のぬるさについては黙っときます。

個人的に、お金と食事でとてつもなく困る姿に好感。話がどんどん進むにつれて博物館で「生活」を送るのに情熱を捧げるのではなく、別方向へシフトしていくのですが。

「クローディア」のわがままっぷりが、可愛くもあるのだけれど「むー」という気分にさせられ、弟の守銭奴っぷりにも「むー」という気分にさせられました。二人の会話にも「むー…」。何でも、必要な文章のみを残していっているそうなので、短いけれどわかりにくい。何だかいつも装飾過剰な文章を読んでいるので、このシンプルさで想像力を働かせるのは、なかなか骨が折れました。故に感情移入をするのも難しかったのですが、最後の場面あたりで、やっぱりこいつら「可愛い」と思います。それと、最後に出てくる人は美味しいところを持っていきすぎです。凄く「クローディア」がやりたいことを納得させてくれます。うん、そういう大人、嫌いではないですよ。むしろ好きですよ。

「クローディア」は、一生そのまんまで居てほしいと思います。