紅無威おとめ組-かるわざ小蝶-/米村圭伍


紅無威おとめ組 かるわざ小蝶

紅無威おとめ組 かるわざ小蝶


相も変わらず、この人の本は「時代もの」に分類して良いものか迷います。ある種、ファンタジーだしなぁ。




基本的に、底抜け明るくて勧善懲悪な話を読みたくなると、この人に手が伸びます。で、今回もそれを期待したわけなのですが、ビックリしましたよ。「小蝶」というものすごい軽業が出来る女の子が登場するのですが、色々あって職を失って、親方も失います。で、とある色男に拾われて、「桔梗」というからくりが得意な女性や、男勝りな「萩乃」やらととある所から金を盗み出す計画を立てるのです。で、「小蝶」の一番の目的は親方を間接的に死なせた偉い人への復讐なわけですが…。
んーっと、快刀乱麻的話を期待していたので、少し肩透かしでした。と、いうものの、登場する色男が……色男なんですよ。これが。別に描写を読んでいて「あぁ、素敵」と思うタイプではなくて、周りがクラクラしちゃっている感じの色男。実際、何が魅力的なのかサッパリわかりませんでしたもん。まぁ、そう思わせようとしているの構いはしないのですが、かっこいい女の人が好きな私にとっては、少々地団駄を踏む思いでした。だって、だって、復讐心どこいきやがったっ。あぁ、もう…っ。みたいな。女三人、揃いも揃って色男にやられ過ぎです。
で、結果的にどうなるか、は読んでのお楽しみ。何だろうなぁ、私がこういう色恋沙汰があまり好きではなくて、その分入りきれていなかったら、爽快感が足りない。「小蝶」が主人公なのですが、どうも主人公を置いてけぼり、または、蚊帳の外、的な感じを受けたので、その空回りが悲しいなぁ…。かといって「小蝶」がすべてを知ってしまっては、他シリーズと一緒になってしまうので、そういう意味ではこの空回りっぷりがこの作品の味なのかもしれません。うん、だって…なぁ、最後らへんで明らかになる設定が似ていますもん。そりゃぁ、その設定がなければ、ダメな事っていっぱいあるので、お約束ともいえます。
最後らへんでは、そりゃもう定番だけど、見せ場がありますし。悪役はダメっぷりと見せ付けてくれますし。どうも全体的に流れが緩やかに思えたのが残念だけれども、そういう意味では、はずれではないです。ただ…やっぱり私は、魅力的な女性がさして魅力的に思えない男にクラクラしてるってのがダメみたいです。「紅無威おとめ組」は女性のために働く組織なそうなので、続編を書いてくだされば、私好みのかっこいい女の人の活躍が腹いっぱい読める、かなぁ。女三人はかなりの特殊能力持ちなので、さぞ活躍してくれることでしょう。後、最後らへんで登場する尼さんが好きです。
あ、この話、他シリーズを読んでいると、にやり、と出来るところがあります。時代が近いので。そろそろ、しっかりと人物を頭に入れて、この人の時代ものの世界観を理解したほうが、さらに楽しめそう。