GOSICs-ゴシックエス・春来たる死神-/桜庭一樹



ゴシックシリーズ短編集。少しずつ繋がっているので、連作短編集、って言ったほうがいいのかな。




ヴィクトリカ」と「久城」の出会いの物語からはじまります。「久城」が殺人事件に巻き込まれたり、その解決を「ヴィクトリカ」がしてみたり。「紫の本」を巡ってごたごたがあったり、扉を開けた途端死体が登場したり、定番の如く幽霊話も持ち上がったり。…考えてみると、この本、結構死亡率高いな…。でも、派手でもなく地味でもなく、なんとも言えぬアンティークっぽい雰囲気です。この空気が、このシリーズのもうひとつの持ち味のような気がしてきた。
ひとつひとつ物語として、またミステリーとして完結しているので、この短編集から読んでも支障はないかもしれませんが、やっぱり長編読んでからの方が楽しめる気がする。にやりと出来るし。
んー、一編一編取り上げていけば長く感想が書けそうなんですが、全体的に可もなく不可もなく。すんなりと入っていけるし、一気読みしてしまうほどに楽しめたのだけれど、これという印象が残っていない。
あ、最後のオチはいいですよ。いい感じに裏切ってくれて。他は「ミリィ・マール」の物語と、セシル先生視点の「ヴィクトリカ」かな。
んー、私はこのシリーズに対して、期待が異様なまでに高すぎるのだろうなぁ、と思います。偶然出会っていたなら「面白いっ」と断言できてしまうのでしょうが、最初のインパクトとその後の積み重ねがこんな偏屈な価値観を育ててしまったようです。
決して、つまんないわけじゃないんです。つまらなかったら、そもそもここに感想書きませんし。ただ、思い入れが強くなってきていて、冷静な感想じゃなくなりつつあるのが…なぁ。
とりあえず、第一巻を推薦。…んー、第一巻を超える話が早く読みたいな。長編の?と?は繋がっているらしいので、今からワクワクしてます。