狼と香辛料 2/支倉凍砂

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)


前作を読んだのは一体どのくらい前のことでしょうか。とんとん拍子に巻数を重ね、もう十巻なのですね。アニメを見て「楽しそうだなぁ」と思ったので、再度読むのを開始です。

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狼と香辛料 2/支倉凍砂

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)


前作を読んだのは一体どのくらい前のことでしょうか。とんとん拍子に巻数を重ね、もう十巻なのですね。アニメを見て「楽しそうだなぁ」と思ったので、再度読むのを開始です。



正直、今回の話はアニメで見ていたので過度な期待はしていなかったのですが、十分楽しかったです。話は前回うまいこと手に入れた胡椒を売り、賢狼「ホロ」の機転で新たに武具を手に入れたところからスタートします。相変わらず、主人公とホロの掛け合いが最高です。甘々ではなく適度の緊張感がありつつ、にやりとできる。主人公「ロレンス」が窮地に陥いり、それを克服していくのが今回の話なのですが、何がいいって、二人の関係が不安定なところっ。いい。んー、続きが読みたいな。二人が一緒に旅をしているのが、もっともっと見たい。ものの見事にアニメで見ていて「あぁ……」と思ったところで、同じく「あぁ……」とため息をもらしました。切ないよ。ロレンスのお人好しっぷりが…っ! 大事なことは云わない。絶対に一緒にいると約束したわけでもない。そんな不安定な状況な二人がすごくいい。ライトノベルの中ではどちらかというと硬い文章なのも雰囲気にあってて作者さんの策略にはまった気がします。アニメでわからなかった二人の心境もよくわかって満足。複雑な商売用語も少なくて、読みやすかったです。

続きが読みたいっ。素直にそう思える作品でした。

 少女/湊かなえ


少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)


現在「告白」が大ヒット中の作者さん。なんとなく本格ミステリー+硬い文体のイメージがあったのですが、実際にはそんなことはなく、どちらかというと軽い。これは今作が女子高生の一人称で構成されているから、かもですが。

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少女/湊かなえ


少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)


現在「告白」が大ヒット中の作者さん。なんとなく本格ミステリー+硬い文体のイメージがあったのですが、実際にはそんなことはなく、どちらかというと軽い。これは今作が女子高生の一人称で構成されているから、かもですが。



さて、主人公は二人の女子高生。理性的で無表情、痴呆の祖母を持つ「由紀」。過呼吸持ちのまわりと同調しよう意識しすぎて逆に浮いてしまう「敦子」。主に二人の視点変換で話は進んでいきます。ある日、共通の友人「紫織」から彼女の遭遇した「死」の話を聞き、二人は「死」を見たい、と動きだす。由紀は病院のボランティアへ。敦子は老人ホームへ。そして、由紀は病院で出会った少年に父親を捜してほしい、と依頼されて……。

その他、いろいろな伏線がからまっています。由紀が書き、盗作された「ヨルの綱渡り」という小説。そしてその犯人の自殺。敦子が老人ホームでであった「おっさん」との交流。

伏線らしいものは張られていますが、トリックはないので「謎」ではないです。だって、予想を確定できるものの提供はないので。あくまで「あぁ、そっか」と思うためのもの、です。驚きはあるけれど、それは決して予想を覆されたからではない。

二人の主人公が別々に行動しているのに、微かに微かにリンクしていくさまは確かに面白いですが、いかんせん慣れるまでこの二人のパートの区別がつかない。文体や「*」で差をつけようとしているのはわかりますが、少々頭が混乱しました。それを狙ったことではないとは思うので、もったいない。

リンクしていたことが判明し、収束していくのが本筋。途中までけっこういい話です。それこそ、由紀が初期段階で冷めた目で見ていた「感動的な映画」のように。それがある意味「女子高生」という記号で崩れていく。最初からわかっていたことですが、彼女たちは別に「感動的な話」を望んでいたわけじゃない。由紀が少年の父親探しの依頼を受けるのも「感動の再会という演出のあとにある確実な死」を見越してのこと。それが明確に明らかになるラストは、確かに衝撃的なことだけど、正直なところパンチ力が弱い。全体的な印象は「惜しいな」でした。瞬時判断のできない一人称、関係が明かされる時間のバラバラ感。故の疾走感のなさ。何と言うか、演出がうまくないんですよ。小説で演出って言い方もおかしいかもしれないけれど、煽りかたが……っ。そして、緊張感が感じられない。話の筋も作り方もいいのに、全体的に「惜しい」。物足りないとは違います。んー、一番はやっぱり文体かと。合えばいいのかもですが、私的にはこの作りでもっと硬い文体なほうが好みでした。「女子高生」という記号につく気だるさを表現していると思えば、表現しているのですが……。

姉いわく、「告白」では文体が変わっているそうなので、期待。話の作り方は好みです。

 夢を与える/綿矢りさ


夢を与える

夢を与える


蹴りたい背中」後、何年かの沈黙期間をおいて刊行された作品。それから「蹴りたい背中」好きなのですよー。あまり噂を聞かないのですが、書いててほしいなー。新作でるのを大人しく待っていよう。

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 王妃マリーアントワネット/遠藤周作


王妃マリーアントワネット(上) (新潮文庫)

王妃マリーアントワネット(上) (新潮文庫)



西洋系歴史もので、このカテゴリー使うのはじめてかも。遠藤周作熱が冷めない間にとすこし前に手をとったものです。薄い文庫で上下巻。正直、あんまりここらへんの歴史に興味はないのですが……。

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 サクリファイス/近藤史恵


サクリファイス

サクリファイス


近藤史恵出世作になるかなー、と期待している一作。これでみんな名前云ったらわかってくれるようになるはず。あちこちで評価がよくて、近藤史恵好きな私としては嬉しいのです。ただ、爆発的とはいかなかったみたい、なのかも。
下の説明が長くなったので、ここで一言。おもしろいっ! 軽いけど、胸にいい感じの重みと静かな爽快感を残してくれますよっ。

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